諫早湾開門調査・行政訴訟 漁連の訴え却下 福岡地裁
これも、若干遅いけど、エントリー
国が進める諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、福岡県有明漁連が国を相手取って湾を締め切った潮受け堤防を開ける「中長期開門調査」の実施や国が調査をしないことについての違法性確認などを求めた訴訟のうち、違法確認などを求めた部分への判決が19日、福岡地裁であった。一志泰滋裁判長は「開門調査は(行政訴訟の対象となる)公権力の行使にあたらない」として、原告の訴えを却下する判決を言い渡した。
(朝日新聞 12/19 )
諫早湾には限らない。この手の話を聞くと本当にガックリする。元々、諫早湾干拓事業は充分にアセスメントが行われたとは言い難いものだった。それ以上に必要性に問題があるわけだが。
せめて、事業後の影響調査を行うべきではないか、というのが「中長期開門調査」なのだが、それさえ反故にされかねない状況だ。この裁判は国に調査を促す意味合いが強かったが、裁判所が門前払いを喰らわした。本当に、この国では裁判所が司法、三権のうちの一つ、としての機能を果たさない。
夕張市の財政破綻が話題となっているが、夕張市のハコモノ事業は以前からその収益性や必要性が問題となっていた。もし、事業に対する懸念が司法の場で充分に審査されるのであれば、こうした事業破綻は多くを防ぐことが出来ただろう。しかし、司法の場で事業の妥当性を争った場合、ほとんどは行政側が勝ち、事業にお墨付きがでてしまう。もちろん、こうした採算性に疑問のある事業は破綻し、だが誰も決してその責任を取らない。この無責任さが日本の財政状況を悪化させた。
以前に、農水省のキャリアと話をしたことがある。諫早湾干拓事業について尋ねてみた所、事業の採算性や必要性について疑問があるのを認めつつも、「(干拓地は)あってもいいと思いますよ。」と云った。「今必要では無いかもしれないけど、そのうち必要になるかもしれないから。」という理由だった。諫早湾干拓に費やした事業費は数千億に達し、40年もの間に地元の漁師達の生活を破壊し、生活の場を永久に奪った。失われた干潟の環境的、資源的価値は計り知れず、有明海全体にもその悪影響は広がっている。
それを、「あってもいい。もしかしたら必要かも。」ぐらいの感覚で進められている、と聞いたら諫早湾と共に生きてきた漁師達が聞いたらなんと思うだろう。
この国の無責任体質が変わらない限り、借金状態から抜け出すことは出来ない。
公務員数を減らすとか、議員定数を減らすとかは、小手先に過ぎないのだから。
真に財政の中でその採算性に問題があるモノが何なのか、キチンと捉える事。それが一番必要なことだ。