シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

 自滅する捕鯨 の軍団

id:buyobuyoさん。タイトルのアイディアお借りいたしますよ。
猿の軍団」。話には覚えがないんだけど、「猿の軍団♪ 猿の軍団♪ なにするものぞ〜(だったかな?)」という歌のフレーズが記憶にあります。
前回で本当に最後にするつもりでしたが、ちょっと気になる記事が目に付いたので、挙げておきます。

捕鯨継続 本当の理由は

捕鯨派の、豪州、英国の活動家2人が日本の調査捕鯨船に侵入し、身柄を拘束された。捕鯨については様々な議論があるだろうが、勝手に船に乗り込んだり、スクリューにロープをからませようとしたりする行為は、絶対に許されるものではない。
一方で、「なぜ日本政府は捕鯨にこだわるのか」と思う人も多いだろう。クジラの肉がなくても多くの人は困らない。大手水産会社も、ニーズが少なく、商業捕鯨をしたいとは思っていないという。
水産庁は世界の魚資源の減少はクジラが数億トンの魚を食べているからで、生態系の調査が必要と話す。
同庁所管の財団法人で、調査捕鯨を実施する日本鯨類研究所を維持するねらいも強い、との声もある。水産庁天下り先で、今はOB4人が役員だ。クジラの肉を毎年4千〜5千トン販売し、70億〜80億円を得て活動費にしている。補助金は07年度で4.5億円だ。昨年は船で火事があり収入が減った。それをカバーするためクジラ肉を値上げしている。
(ウオッチ 税・くらし・マネー 朝日新聞 2008.1/18)

対立続く捕鯨問題 「調査」強硬は逆効果
国際的な批判や抗議行動が激化している南極海での日本の調査捕鯨。日本にとってどんな意味があり、反対派との激しい対立が続く捕鯨問題に出口はあるのか。捕鯨をめぐる国際交渉に詳しい石井敦・東北大准教授(国際関係論)に聞いた。
− 捕鯨に関する日本の戦略をどう見ますか
「調査捕鯨によって科学的なデータを集め、国際捕鯨委員会IWC)で商業捕鯨の再開の議決を目指す、というのが日本の戦略だ。だが、これにはIWCで四分の三以上の賛成票が必要で、ほぼ不可能なことは政府も認めている」
− 日本の戦略は誤っているのですか。
「日本政府の過去の行動などを分析すると、日本が本気でIWCでの議決に向けて努力しているとは思えない。各国の賛成を得るには、会議で妥協して交渉に応じる余地があることを示すなど、友好的な雰囲気づくりをすることが必要な手段の一つだが、そのような姿勢はみられない」
− 日本はIWC脱退をほのめかしている。
「強硬姿勢を貫いてIWCから脱退し、関係国と一緒に新たな資源管理機関を設立することも商業捕鯨再開に向けた選択肢の一つだ。だが、日本が実際に脱退に向けて具体的な動きを取ったことはなく、各国も真剣に受け止めていないので、IWCでの交渉カードになっていない」
− 本気で商業捕鯨を目指していないということですか。
「調査捕鯨はむしろ商業捕鯨再開の足かせになっている。鯨を殺さないでも質の良いデータが得られるのに調査捕鯨を続けているのは、商業捕鯨再開に向けての調査捕鯨というのは建前に過ぎず、水産庁にとっては、計画をIWCに提出さえすれば実施できる調査捕鯨を続けることが最も都合のいいということだろう。鯨肉需要は減っており、政府の補助金がなければ南極海での商業捕鯨は続けられないので、調査捕鯨は業界にとっても一番望ましい」
− 反捕鯨国の反応をどうみますか。
「オーストラリアは法的措置を検討しており、確かに一部の調査捕鯨ワシントン条約などに違反している可能性がある。だが、すべての調査捕鯨をやめさせるには、全会一致でIWCの設立根拠になっている捕鯨取締条約を改正しないといけないので無理だ。強硬姿勢の日本に対峙していれば、反捕鯨国の政治家や環境保護団体には自国で支持集まるので好都合だという状況もある」
− この状況が続くのでしょうか。
「何の議論もなく、一部の完了と捕鯨業界のために毎年、多額の税金が調査捕鯨に投入されるという状況は許されるべきではない。日本が真に商業捕鯨の再開を望むのであればまずIWCでの交渉に真剣に取り組むべきだ。南極海での調査捕鯨を交渉カードにして、これをやめるから、日本沿岸での小規模な商業捕鯨を認めるよう働き掛けるのが、IWCの正常化に向けた一番の近道だ。」
静岡新聞 20081.21 夕刊)

この両者の意見はほぼ自分の意見と一致する。こうした意見が支持されるようになれば、不毛な対立は避けられるかもしれない。


さて、一応コメントにも応えておきますか。


T・Hさん。

それこそ反捕鯨側によるプロパンガンダそのものですね。
捕鯨側の暴力的な欺瞞が少しづつ暴かれてきたからですよ。

捕鯨側も一枚岩じゃありませんし、プロパガンダって云われてもねぇ。暴力的示威活動に及ぶのは、国代表でもないシーシェパードですよ。同一視するのは、他の理事国に失礼じゃないですか。

だ・か・ら、“誰のものでもない”というのは、“誰のものでもある”って云ったろ?50年前でも今でも地球は反捕鯨派だけのものじゃない。現在暴力で言う事聞かせようする連中の理屈が通用するわけ無いだろ。
地球全体が一つのエコシステムと見るのはいいとして、反捕鯨の立場がそのまま「エコシステム」の代弁者とみなすなんて思い上がりもいいところ。

IWC参加国はどこも「暴力」で言うこと聞かせようとしているわけでもないし、IWC参加国の大半は商業捕鯨に反対。で、サンクチュアリ提案やホエールウォッチングの資源としての取り扱い、など商業捕鯨再開には厳しい状態なのが現実なんだが。

それこそ「バカか、オマエ。」と言ってやりたいですが。
日本の捕鯨は近年まで保ってきました。

明治までの沿岸捕鯨ならともかく、明治以降の近代捕鯨に民族文化の要素など無いですよ。捕鯨法もノルウェーから伝わったものだし。


id:mujinさん

すみません、論題と関係ないですが「流れに棹さす」は意味が反対ですね。「水を差す」の方が合ってると思います。

ありがとうございます。書いていて、あれっ、何かしっくりこない、と思ったんですが、そのままにしてました。
指摘感謝します。


レインボーさん。

わざわざ公海にまで出かけて銛を投げつけたり、
右舷に位置するからといって船をぶつけたりすれば怒りをかいますよ。

誰の?

で?グリーンピースが意図的にぶつけたのはグリーンピース側の映像からも明らかなんですけど。

あのね、遠洋航海に出るような大型船が微速前進した程度じゃハッキリ見えるほどの波なんて舳先には見えませんよ。どちらが動いてたか、の決定的証拠なんて“両者”とも挙げられないんです。だから、「グリーンピース側がぶつけた」って話に、カウンターを持ち出したんです。国際的ルールに従えば停泊時でもなければ、左側の船が針路を塞いではいけないのですから。
どうやっても水掛け論に陥るのは必至で、両者とも訴えたりはしてないでしょ?それぞれの宣伝に利用するのが精一杯というところでしょうよ。

シロナガスクジラの頭数が増えないのはミンククジラがシロナガスクジラの分の餌まで食べている、という説を証明するには少なくともミンククジラがどれだけの『割合』でオキアミを食べてるか胃を調べる必要があります。

そんなもの調べる必要などありませんよ。南氷洋全体のバイオマス総量さえ正確に分からないのに、そのうちのミンククジラが食べる「分量」だけ正確に量っても無意味でしょう。それに、食性を調べるなら「糞」で充分です。
不思議なことに「科学的根拠」が大好きで、科学委員会の決定を過剰に重要視するのに、科学委員会で毎回「非致死性」調査するよう勧告を受けていることは無視するんだものなぁ。

もし伐採禁止にしたいのなら、その範囲を厳密に指定する必要があります。
でなければ、日本中いや、世界中の木を伐るのが一切不可能になってしまいます。
ブログ主の例えでいうと世界中の木が全部「鎮守の杜」?
こんなことは人間社会で通用しません
前回私が述べた、鎮守の杜扱いが成り立たない理由はこういう事です。

各国の森林でも、他国の人間が伐採禁止を求めて活動することは普通に行われている。
アマゾンでも、カリマンタンでも、スラウェシでも、ネパールでも、それこそタスマニアでもね。そこにはもちろん科学的価値基準を越えて価値を見出す事が普通に行われ、それは一般に認められてもいる。
他国の自然環境でさえも、人類全体の普遍的価値がある、と認められる中で、“皆の権利が存在する”公海で、合意形成無しに何かが行えると考える方が間違いだって。


もう一つ不思議なんだが、日本が鯨を捕る意味、は科学的価値、として計れるものか?日本の食糧事情を考えれば、鯨にこだわる合理的理由は存在しない。それを伝統的文化だ、と主張し、科学的基準を越えた価値を認めるなら、公海での鯨保護も、その科学的基準を越えた価値を認めなきゃおかしいだろう。自分たちの事情には科学以外の基準を持ち出し、一方で他国を「非科学的だ」と非難する、そうした二重基準が受け入れられる可能性は、どこまでも低いんじゃないか。


自分は伝統的文化に科学とは違う基準で価値を認める。だから、他国がやはり科学以外の基準を持ち出しても、それを受け入れるべきだと思う。その上で、妥協できる点を見つける必要があるのではないか、と言っているわけだ。


貧寒さん。Aoshimaさん。
本当に、そこに尽きると思うんですよ。他国と対立してまで見合う価値か?で考えると、無理があると思うんですけどね。


厘斗さん。コメントありがとうございます。

日本はもっと自国内の少数民族問題に目を向けるべきだと思います。
(略)
それはともかく、鯨をきっかけに日本の少数民族問題にもっと光が当たればよいのですけども、そういう展開にはなりそうも無いですね。残念です。

そうですね。御指摘ありがとうございます。先住民、マイノリティー問題には少なくとも鈍感では居たくない、と思います。これからも御教授下さい。


最後に。
あちらこちら、id:Apemanさんやid:washburn1975さん、id:hokusyuさんのところまで、迷惑を掛けてしまって申し訳なく思います。
ちなみに「悪名」シリーズは知りませんでした。いつか利用しようかと思います。でも、16弾までネタが続くかどうか。
本当にこれで最後です。コメントは自由ですが回答は期待しないでください。ブログ主は飽きっぽい上に卑怯者で、しかも来週までネットに関わりませんので。
では。

【追記】御指摘により修正いたしました。
誤:東北大準教授
正:東北大准教授