蟹工船騒ぎ
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20080604
『サンデー毎日』で池内紀先生が、今泉みね子の『クルマのない生活』の書評に事寄せて、エコロジストを名乗りつつ平然と自動車を使う連中を揶揄していた。さすがである。どうせ大広告主に配慮してだろうが、『それでもクルマに乗るための100の知恵』なんという本を出す朝日新聞出版は爪の垢でも煎じて呑むがよい。死刑廃止論者は、それほど人命が大切だというなら、自動車をこの世からなくすよう訴えたらどうか。
池内紀氏の書評で触れている部分はこれ。
ヘンな時代である。省エネ、エコ製品、再生紙使用、地球温暖化防止−。この手のコトバがあふれている。スーパーの屋上から垂れ幕で「環境にやさしい」。つまり店のモットーらしい。そのくせ真夜中ちかくまで全館こうこうと明かりをつけて営業中。
「けしからん!」
ぬけぬけとした偽善ぶりが腹立たしい。いい子ぶるなよナ。しかし批判する当人が大半の買物をそのスーパーですませ、さして遠い距離でもないのに、荷物が重いからと理由づけてタクシーに乗ったりする。
http://mainichi.jp/enta/book/review/news/20080604org00m040005000c.html
なるほど。まぁ、よくある感想だよね。
でも、今泉みね子さんの著書を見ると、ちと話が違ってくる。

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フライブルクは当ブログでも何回か取り上げた、“街中から車を無くそうとしている”都市である。
・こんな街に住んでみたい
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20071129/1196325555
・ヨーロッパは天国じゃない
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20071220/1198139863
・自滅する地方 〜回答編〜
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080207/1202375094
構造的にカーフリーを目指そうとしている都市の住人からの意見を基に、個人の努力に帰して“車に乗るな”と訴えるのは違うだろ。交通行政は自動車指向で進んできたわけで(道路特定財源を考えれば判る)、そのような状況で個人が車に頼らざるを得ない状況を揶揄しても誤爆だろ。
交通行政と道路整備事業に文句を付けてから、つまり政府方針を批判してから、指摘するなら話は分かるがね。
もちろん、自分も含め大概のエコロジストは“車を減らせ、自転車に乗れ、街をコンパクトにしろ”と叫んでいるわけで、小谷野敦は気の利いた皮肉を言ってるつもりみたいだけど、単に物知らずっぷりを晒しているようなモノだね。
・凶器は車
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080121/1200907143
・メモ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080220/1203496433
ま、宇沢弘文氏や上岡直見氏くらいラジカルに云うなら意味があるだろうけど。

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