シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

とんだ血塗れブタのエサ

野球賭博がダメならサッカー賭博をすればいいぢゃない。
ども、「BIG」に有り金はたいているシートンです。


前回のエントリーを挙げたら、えらくコメントが寄せられました。またまたblogosに載ったのね、道理で「ブタのエサ」率が高いと思った。
で、コメントの一つにこんなのがありました。

こまつ 2010/06/27 22:06
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51443399.html
池田信夫さんから早速ツッコミ入ってるけど

ほほぅ、ノビーが、と読んでみると、これが相変わらずダメダメな代物でした。


財務省法人税巻き返し工作が始まった?
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51443399.html


ここでね、ノビーが自慢げにこんな事を書いているんですよ。

日本企業の納税額が少ないのはもうかってないからで、税率とは関係ない。

すげー、前回のエントリーに安井記者のコラム、全文載っけているからキチンと読んでみたらこんな事は書けないよね。

日本企業の利益率は世界の優良企業と比べて低い。
(該当コラムより引用)

日本勢の苦境は税率の高さが主因ではなく、経営力が劣っているということに尽きる。
(同引用)


売上高、というのは要はその企業の経済的影響力を示すパラメータとして見なせる。利益に加えて原材料費や人件費など諸費用が入っているのだから。その中において法人税を経費として見なすと、どの程度の比率なのか、というのがコラムの眼目。で、世界の優良企業と比較すると、税率の割には「経費(=法人税)」を払っていない。それは、利益率が低いからで、まずは税率うんぬんよりも利益が上げられる経営を行うのが筋だろ、というのがコラムの主張。


そのコラムに対して、

日本企業の納税額が少ないのはもうかってないからで、税率とは関係ない


って、はい、その通りですよ。コラムが前提としているところをツッコミとはどんだけ読解力が無いんだか。まぁ、ノビーだから仕方ないけど。
で、続けてこんな事書いてます。

問題は多国籍企業の場合である。パナソニックは、今年の新卒採用の8割を海外採用にした。グローバル企業が税引き後のキャッシュフローを最大化すると、税率の高い国から資本逃避が増える。

ドメスティックな朝日新聞は知らないだろうが、日本企業は世界で闘っており、外資系企業もなるべく日本で資産をもたないように金融技術を駆使しているのだ。税率が高いのに税収が少ないのは、こうした資本逃避に加えて、自営業の所得捕捉率が低いために赤字法人が7割を超え、租税特別措置で抜け穴だらけになっているからだ。

イヤイヤイヤ、なんで安井記者が比較例として「アップル」「ノキア」「サムスン電子」を取り上げたのか判らなかったのかな?これらの企業はパナソニックソニー以上に海外展開している企業でしょ?金融技術を駆使し、資本を分散させ、逃避しているはずの企業でさえ、パナソニックソニー以上に(経費としての)法人税を母国に払っている、という話なのよ。
法人税率を下げたら果たしてもっと税を納めてくれるのか?そんな事は期待出来ないわけでしょ。ノビー理論に限らず、どこの企業だって出すモノは舌だってイヤだろうから。そんな事は百も承知で、利益率も上げられないようなボンクラ大企業相手に甘やかす必要など無いだろ?ということ。


しかも、続けてこんな事書いているしね。

納税額を利益ではなく売上高の比率で比べて低く見せるという奇妙な計算を、この記者が思いついたのかどうか疑わしい。財務省が「レクチャー」して、この数字を教えたのではないか。日本経済が破滅しても税収の確保のほうが大事だという主税局の工作が始まったのかもしれない。税調の専門家委員の大部分はマル経なので、混乱が予想される。こんな財務省工作員のような記者こそ「仕分け」が必要だ。

安井記者は私がよく見掛けるのは「環境関連」の記事。朝日の政治部記者はほとんどが法人税減税と消費税増税を対で語りたがる。どっから出てくる発想なんだよ。工作員、って。
しかも、税調の専門家委員の大部分がマル経って、そりゃなんのこったい。自分と違えば皆“共産主義者”かよ。バカにもほどがある。


というわけで、ノビーがキチンと安井記者のコラムを理解していない事が判ったのだが、私のエントリーに批判するためにノビーのエントリーを引いてきたヤツも理解力ゼロという事が判る。
だって、コラム全文載せているもんね。読めばノビーのエントリーが的外れな事はすぐ判るはずだ。


さて、コメントに応えておきましょうか。


通りすがりさん

中小企業だけ法人税を下げるってのはだめなの?

法人税を下げても同じ事になるんです。結局、下請け構造がある限り、利益カツカツで大企業への値引きを迫られる事に変わりはありません。


通りもんさん

すばらしいご意見です。

「日本の法人税が高いから、海外に移転しました」という企業を、寡聞にして聞いたことがございません。

まあ、法人税が高い事は海外移転の“一つの”理由にはなると思います。ただ、移転するのはそれだけではなく、最大の理由は市場の将来性や為替レートにあるでしょう。そして、法人税が高い、だけで出て行くバカな企業は無いわけです。


774さん

赤旗の記事はかわいいもんだ。
↓これに比べたら。
大手5行15年連続法人税ゼロ
http://d.hatena.ne.jp/yumyum2/20100525/p1

金融の問題点についてはまた取り上げますが、ギリシャ危機も本当の問題は金融関係にあった事や蔑ろにされがちですね。

69さん

お前は日本がどうなろうが、どうでもいいんだろうな。
このマスターベーション野郎が。

あなた、2つの意味で間違ってます。ノビーのように新自由主義を信奉するなら日本というローカル性に拘る必要はありません。「世界」で勝負しなさい。
もし、日本に拘るなら、新自由主義とは相容れません。


はあ、、、さん

この論文は非常に残念です。日本企業しかとりあげてないですが、今はグローバル化が進んでいます。
海外のベンチャー企業Appleなどの優秀な企業がやたら高い法人税払ってまで日本をマーケットにしようと思いますか?だから海外の優秀な企業は東京に何店舗しかない。

法人税なんて海外進出の条件の“一つ”でしかありませんよ。マーケットとして有望かどうかの方が重要です。その場合、その地域が経済的、政治的に安定しているかどうかも問題なんです。
税収減でセーフティーネットの崩壊が加速すれば、市場としての魅力も失われます。その方がよほど海外からの投資意欲を損ないますよ。


変な計算さん

法人税は利益に対して課税されるのに、売上高と法人税額を比較して何がわかるのでしょうか?

書いたとおりです。「経費」として見なす場合、どの程度払っているのか、という事です。日本語が読めないんですか?


あさん

何ですかこの御託は。「減税理由」の反論しやすい部分だけ抜き取っている。
売上高法人税比率が他国と同じレベルであれば下げないというのはおかしい。減税により強化が目的だ。
またこの文章には海外投資促進効果については触れていない。笑止千万

えー、「他国より税が重いから」という経団連などの主張を否定ですか。そんなマイ理論に私が付き合う必要などありませんな。
それに、海外投資が“法人税率”だけで左右されるわけも無いでしょ。


ゼウスさん

日本特有の複雑な税制を維持したい、寄生虫サイドの世論誘導だな。もしかしたら、役人の捨てハンかww

バカですねぇ。複雑な税制は企業側のニーズによるものですよ。徴税する側はシンプルにいきたいでしょうよ。ガッチリ取れますからね。なるべく払わずに済ますために、各種の免税プランがあるんでしょうが。
で、「捨てハン」ってwwww。ここで何年ブログ書いていると思ってんの。


すんごい気になるんですけど、さん

法人税減税は日本企業のためだけというより、日本に対する海外からの投資も考えてのことなんですけど、なんでそのことは書かないんですか?

税率だけで海外投資が左右される、なんて事はあり得ないから。国内企業の事情を裏返したものにしかならないのは自明でしょ。


通りすがり理系さん

租税(原文ママ)って国内外からを問わず有能な経営者や企業を呼びこむのが目的ですよね?

くだらねぇ!そんな事期待しているの?そんな滴を期待するくらいなら、自分で進出してこない企業のシェアを奪う企業を立ち上げればいいのに。


教えて君さん

ということは、なぜ国内企業が皆海外に逃げて、外資が全く来てくれないのでしょうか?

って、なんてニッポソ国のこと?
少なくとも日本では「国内企業が皆海外に逃げて、外資が全く来てくれない」なんて事は無いけど?


ベキ分布0.002%の俺様が来たよさん

諸外国に比べて魅力的な法人税のなら、知識集約型の企業は来ると思うよ。このブログ主は労働集約型の企業しか頭にないようだけどね。

キミの想定する「知識集約型」企業、ってどんなところだ?知識集約型だろうがなんだろうが、法人税ごときに左右されるような「脱税体質」の企業なんて来ても仕方ないって。

違うのか? なんとか言ってみろよwww

なんとか。


よく読んでみるとさん

  • 日本法人は利益率が低いから、実は税金をそれほど納めていない
  • 日本法人は赤字のところが多いから、実は税金をそれほど納めていない

これって、やっぱり法人税を下げるべきって結論になるじゃんかw

意味が判らん。説明してくれ。


alpha_leoさん

そんなの無視して勝手に自由化を進める国も出てきそうですが(というか世界は既にそういう方向にどんどん向かってますが)、シートンさんとしてはそんな国は強大な軍事力で脅迫してやめさせれば良いというお考えなのでしょう。

例えばG20会合などを見れば、各国が協調介入なんて事は結構行われているわけです。EUでは財政健全化に口を挟む事も。それを租税徴収についてはやれない、という方が不思議ですね。守らないところがあるからダメ、というのは、地雷でも核兵器でも国際司法裁判所でも先例があるわけですが、段々にコンセンサスを得る事が出来ているわけです。要はやる気があるかどうか、の問題ですね。


balalaaykaさん

企業単位じゃなくて国家単位の法人税の全収入に占める割合、で比較しないと何の意味もないでしょ。
目くらましの数字で自分に都合のいい主張をするのはやめていただきたい。

それならば、税収の内、どれくらいを福祉などに回しているかも問題でしょうが。
中小企業を含め、補助金制度について載せたのはなんでだと思ってんです?日本では税収がインフラ整備や補助金などに廻るケースが多い。再配分がキチンと為されていないんですよ。
そうした点にも触れずに「法人税が高い」という難癖を付けるから、同じ手法で反論したまでなんです。


たんぱつさん

池田blogでコテンパンですな・・・
あの先生と議論で戦ってくれたら評価します

つーか、ノビーは都合の悪いコメントやトラックバックは削除しますから。ここでも何回かノビーのくだらなさを取り上げてますので、探してみてはいかがでしょう。


ターボさん

貴方の考えで経営をしたら、きっと直ぐに「法人税が高すぎる!」ってねをあげますよ。

いやぁ、どんなに税率下げたって「税が高い!」と主張しますし、「儲かりませんな」っていいますよ。
それが経営者ってものです。出すモノは一円でも惜しいですから。で、商売は「税」だけで決まるものではありません。それ以外の要素と勘案して決めるべきものです。


himitsu04さん

お初です。(ひょっとするとおひさです?)
私はシートンさんに賛成です。

ども。サンクスです。
ただし、私は法人税率の問題単体ではさほど興味が無いのです。何度も云いますが、企業の移転・進出は税率のみで決まるわけではありません。メリット・デメリット双方勘案して決めるべきものであって、
「税率を下げれば企業も移転しないし、こちらに進出してくる」とかいう単純化された議論に水をさせれば充分です。


通りすがりのネコさん

シートンさん。はじめまして。ネット初心者です。

ども、サンクスです。
こんな記事を読むより餃子記事を読んでいってくださいね。あれがここの売りなんです。


全体を見渡すと、「出て行く企業の問題より、海外から入ってこないのが問題だ」という意見が多いですね。なんですか?海外企業が進出してくるとどうなるですって?雇用が増え、経済活動が活発になり、そして自分たちにも(滴が滴り落ちるように)恩恵がある、ですか?
くだらねぇ。
そんなつまらない事考えるくらいなら、自分で企業起こしちゃいなさいよ。せっかく「高い法人税」が参入障壁となっているんだ(そうだ)から。それが正しき商売人、起業家魂でしょうが。
自分で起業する気もない貧乏人だったら、素直に「起業は税を納めろ」と主張する方が正しき「市場主義者」ってもんです。互いの事は気にせず、自分の利己的な要求を行うのが「正しき姿」なんですから。
そんな自分とは縁もゆかりもない大企業のために「税を軽くしてやらないと困ってしまう」とは、それってなんて「エア経営者」?ってところですよ。


自分が前回エントリーに刺激的なタイトルを付けたのには理由がありました(いや、理由が無くても挑発するけど)。それは、同日の別エントリーを読んでほしかったためです。


あらかじめ告げられていた原油流出事故
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100627/1277600159


BPは見事なまでの多国籍企業でして、ついでにタックスヘイブンを介して租税回避を積極的に行っている企業の一つです。各国政府に働きかけて補助や規制緩和などの恩恵を被っています。
今回の原油流出事故はまさに「規制緩和」によって沖合油田開発が可能となり、そして「経費削減(租税回避と同様に)」に努めた結果として起きたものです。
グレッグ・パラストはそれを「新自由主義の必然」と捉えていました。ゆえに今回の事故は、あらかじめ告げられていた、と云えるのです。少しも不思議は無い。それは起きるべくして起きた。反省の無いところに対策はありません。
私はこのエントリーを「新自由主義に対する警鐘」として書きました。そして、そういってよければそれなりに同意を得られたようです。
しかし、「ブタのエサ」に反応した連中は、そしてブクマでネガコメ書いている連中を見てみれば判りますが、見事なくらい原油流出事故に関するエントリーはスルーしてみせたのです。


新自由主義によるダメージは誰もが等しく受けるわけではありません。まず、恵まれない者からダメージを被ります。そのダメージを被る側にいる者達(私だってそうです)が、大企業の経営者サイド視点に立つ、これは喜劇でしかありません。まさに「ブタのエサ」。喰いものになるだけ。あとには骨も残りません。


さて最後に。新自由主義、「小さな政府」論には決定的な問題があります。それはなんでしょう。
一応、宿題にしておきます。
では。