神勇者ゴッドとかいうバカがスゲー！！

地下猫さんからTBもらっているのに気づいて、エントリーを調べたら、こんな騒ぎが持ち上がってたのね。
それにしても、えー、このバカは何なの？

原発批判を真っ向から批判したらどうなるかやってみた
http://togetter.com/li/32994

じゃあ、このバカをプチプチ潰していきますか。
このバカは、典型的な「技術バカ」ってヤツだな。我々が最初に学ぶことは、「科学の限界」ってこと。以前のトリアージ騒ぎの時の「倫理を科学でアプリオリに導けるか？」というのも同じなんだが、科学における限界、それは我々が人間である限り逃れられない制約でもある。
それを考慮しない科学技術というのは、有害無益であるわけで、ここではやたら反原発派を小馬鹿にする態度が見受けられるが、あまりにも浅いな。

さて、バカその１

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17476453616

@mugla77 放射性物質の半減期を短くする方法として、核変換技術がありますし、日本でも研究中です。良心的な研究者？無知の間違いじゃないですか？

核種変換なんてのは、それこそ私が物理にクビを突っ込む前から、高レベル核廃棄物処理として喧伝されていたものであるが、未だに目途はまったく経っていない。実に40年以上だよ？
理由は簡単で、
・加速器の電力がハンパ無い
・部材が放射化してしまう
・超ウラン元素だけ分離すること自体が困難
ていう事情がある。
超伝導加速器だろうと何だろうと、加速に利用されるエネルギーと処理量を考えたら、もともと「割に合う」話にはなり得ない。
電中研あたりはしきりに宣伝しているけど、ま、無理だね。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17482418988

超アクチノイド超ウランが問題なのか、大量の劣化ウランが問題なのか、ごっちゃにしてる糞長いレポートだった。最後の結びは劣化ウランが問題って言ってたけど、天然ウランより放射能が低いって理解してんのかな・・・？

以前にも取り上げたが、U238は確かに放射能はU235より弱いが、決して侮れるようなものではない。
まさか放射性物質ではない、と勘違いしているんじゃないだろうな？理科年表でも見れば一目瞭然なのに。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17497424968

@mugla77 IEERの報告書より「放射性物質の重量比94パーセントを占めるウランの始末ができない」とありますが、ウラン238は高速増殖炉で燃料とされます。この点に関してはIEERの報告書は偽であるといえます。

「高速増殖炉」www。バカだ。コイツ。高速増殖炉はすでにフランスもアメリカも放棄している。U238をPt239に変換する、それ自体結構問題がある、って事を理解していないのか？
高速増殖炉自体、原子力研究初期から構想されているのだが（プルトニウム型原爆が構想されたのとほぼ同時期だ）、それでも実用化出来ていない。これが何を意味しているのか判らないならお話にならない。
拙ブログ

時代遅れの原子力　４
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20071219/1198053457

を参照のこと

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17498860026

@mugla77 またセシウム137については処分というより、原子炉由来の物が医療分野で再利用されております。http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/ippan10/4/4-4.htm

えーとですな。単元素としてのセシウム137なら問題は少ないよ？ただ、廃棄物中の放射性セシウムストロンチウムは分離自体が困難で、そもそも利用なんておぼつかないって。
で、利用できるからなんだというんだ？意味不明だぜ。

例えば、トリチウム（三重水素）は、核融合の燃料源であり、トレーサー（放射性追尾元素）であり、または蛍光物質としても利用される。が、トリチウムの取り扱いは疎かにしていいもんじゃない。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17504151011

@mugla77 ウランに関してだけ言わせてもらうと、実験炉は成功で実証炉の段階でコケてます。それは液体ナトリウムを取り扱うノウハウが問題であって、不健全な科学技術とは到底思えません。

違う。
ノウハウが問題じゃないんだよ。液体化ナトリウム自体の挙動はそれなりに蓄積がある。しかし、それを「問題なく扱い続ける事が出来るか？」ってところが問題なの。リスクコントロールは掛ける費用に比例する。つまり、元を取ろうと思ったらある程度リスクを受け入れなければならない。
だが、高速増殖炉の暴走によるハザードは、「たまたま」「稀に起きたこと」を許容しない。
それについては地下猫さんが書かれているとおり。
高速増殖炉には自己制御機能　高速中性子によって核反応が進行するため、軽水炉のような冷却水漏れが核反応を止める、またはドップラー効果による中性子の吸収減少というような　調整機能が存在しない。ナトリウムが漏れて温度が急上昇しても反応は停止しない。それが「本質的に」どれほど危険な事か思い至らないのは、想像力を欠いている。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17527764079

@mugla77 もんじゅが止まってる間に液体ナトリウムについての流体挙動がかなり研究されました。システムの統合や改修も行われてます。原理としては変わりませんが、プラントとしては進化しています

プラント関係で進歩したのはどちらかといえば、材料工学の方だが、まあそれはどうでもいい。
どんなに進歩しようとも、扱うのが人間である限り、欠陥やミスは起こりうる。そして、原子力のような「秘密主義」の権化では、そうしたミスは隠蔽されがちだ。
それが、柏崎や昨年の浜岡での予想を超える揺れ、島根の点検不備などに現れる。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17557961187

@nachtwish 理由としては海洋ウランの総量は日本が廃棄物として出すウランの一万倍以上って話なんだよね。あと海溝に埋めれば地殻変動でマントルに沈んで行くとかある。

これ、すげーな。物性・材料関係をやっていたら、こんな事は口に出来ないはずだが。
例えば、アメリカの石炭火力発電所では、水銀が大量に放出されている。

｢進行中の水銀汚染｣[PDF]
http://www3.kumagaku.ac.jp/sw/KATUDOU/jyouhoushi/onsei%20PDF/53gou/53P6-7.PDF

それは、水銀を手軽に捨てていいことを意味しない。
もしかして、このバカはRoSHもReachも知らないじゃあるまいな？水俣病をどう考えているんだ？
あれも、原田正純先生達の奮闘があったから認められたようなものの、
「チッソから排出されるのは無機水銀で有機水銀ではない」
「胎盤を通じて有機水銀が胎児に影響を与えるのは医学的に考えられない」
という意見があり、日本化学工業会は「爆薬説」。東京工業大学らの「アミン説」。
「チッソの廃液が有機化して生体濃縮し、摂取した人々に中毒症状を引き起こした」
という事実が認められるのには長い年月を要した。

それでも、宇井先生や原田先生らの奮闘が無ければさらに酷かった可能性は高い。
何かにつけて「市民運動」を揶揄する傾向の強い現在だったら果たして実情は明らかに出来ただろうか？

水俣病　 Wikipedia
http://tinyurl.com/27r8ds7

RoHS - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/RoHS

REACH - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/REACH

核廃棄物を海溝に捨てる件に関しては後で批判する。

http://twitter.com/gekijounouta/status/17680177763

エネルギーがなるべく石油に依存しない体制を作ることは日本の安全保障上、重要なことだと思うけど。誰かさん備蓄量3/5に仕分けちゃったけど。 http://togetter.com/li/32994

えー、何度か言ってますけど、ウランも何もかも海外頼みなのに、なぜ原子力が安全保障に役立つ、と考えられるのかまったく不明です。
むしろ、原子力関連プラントを狙われて安全保障上の障害になるのがオチでしょう。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17778181346

放射性物質が溶け出さないよう固化した状態で海溝に穴を掘って投棄。最終的にプレートは沈み込んでマントルに飲まれる。

はい。じゃあ、これを批判していく。
まず、「放射性物質が溶け出さないように固化」
これが全然巧くいっていない。
現在、六ヶ所村の再処理工場ではガラス固化のパイロットプラントがストップしている。つまり、熔融ガラス中に高レベル核廃棄物を溶かし込む事自体、巧くいっていないの。フランスなどはラ・アーグなどで盛大に加熱する事でガラスに熔融させているのだが、これをやると大半の放射性物質は揮発することになる。

ガラス固化体を例えば深海に沈めるとする。しかし、容器に掛かる圧力は数百気圧というでかい圧力だ。容器が損傷しないように保ち続けられるのか疑問だ。

最終的にプレートが沈むって、海溝の底には大量の堆積物がある。海溝に沈めても地下に引き込まれるとは限らない。
しかも、海溝部にはさかんな活動があり、熱水噴出孔もあったりする。決して静かに沈んでいくばかりではないのだ。
そして、深海にも深層海流（大循環流）がある。これは、温暖化問題でも取り沙汰されるが、深海だから、海溝だから、といってスタティック（静的）な状態ではなく、そこにだってダイナミックな活動があるのである。狙い通りマントルに引き込まれる、なんて考える方がタコ。
引き込まれたって地殻変動によって損傷したら、放射性物質が熱水噴出孔から吹き出し、大循環流に混じる、という事がありうるのだ。

http://twitter.com/kamiyusyagod/status/17778347374