自称現実主義者のしょうもなさ
最近、シンポジウム関係に誘われたりということが増えているわけですが、こんなシンポが行われるそうです。
<再生可能エネルギーの実情と展望を考える>〜データに基づく議論へ〜
http://www.enekan-shizuoka.org/?cat=5
平成26年11月29日(土)
会場 : 静岡市清水文化会館マリナート【開場】 13:30
【1部】 基調講演 14:00〜14:30<講師> 山本 隆三氏
【2部】 討論会 14:30〜17:00<パネリスト> 山本 隆三氏、鈴木 光司氏、崎田 裕子氏<コーディネーター> 長谷川 玲子氏
ちょっと説明が必要ですね。この山本隆三なる先生をググってみれば一目瞭然であります。香ばしいところに顔を出している御仁でございます。一言でいえば、「御用学者」ですね。
ちなみに、無料だそうであります。
でも、無料にもかかわらず、申し込みにおいて身上調査をガッチリ行うようです。
ま、反原発派、に参加されて痛いところを衝かれては困るでしょうからね。パネルディスカッションではあっても、参加者の自由な意見を受け入れる気は無いようです。
こうした態度は、「自称現実主義」を気取りたいわりに本音がダダ漏れなわけですが、あまり気にする様子は無いようですね。
どこから費用が出ているのか気になるところではありませんか。この静岡エネルギー・環境懇談会、なる組織も何なのか。その目的とするところは何か、と考えると興味深いですね。内容的には各電力会社(静岡なら中部電力か東京電力)や電事連の主張(したいこと)ですが、共催にも協賛にも名前はない。
おそらくは、この「静岡エネルギー・環境懇談会」なる組織自体が、その代理、隠れ蓑、というわけでしょう。
中部電力も昨今、再稼動のためのCMをバンバン打ってますし*1。
なにせ、この山本隆三氏、あの、池田信夫氏のところの「アゴラシンポジウム」に加わっているくらいですからね。こちらも、新聞で大々的な宣伝(一面丸々!)してます。
ま、「反原発派も原発推進派はどっちもどっち」「冷静で感情的でなく、科学的で現実的な議論が必要」とかほざいちゃう自称現実主義者には受けがいいかもしれませんね。
電力会社の大規模太陽光発電(メガソーラー)の受け入れ保留*2、を、「だから再生可能エネルギーはダメなんだ!」みたいに捉えちゃうような輩には。
このあたりは、また後日ガッチリやります。一応、予告。
ただ、再生可能エネルギーが高い、負担がでかい、みたいな意見に関しては、クルーグマンの意見を示しておきましょうか。
ポール・クルーグマン「太陽電池パネルなどの再生可能エネルギーが激安になった」 現代ビジネスブレイブグローバルマガジン『ニューヨークタイムズ・セレクション』より | BRAVE NEWS |
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39110
一般的に彼らは、市場のマジックがあらゆる障害を克服すると豪語する。つまり、民間セクターの柔軟性とイノベーションの能力があれば、土地や鉱物の不足などの市場を制限する諸要素への対応は簡単だと言う。ところが、炭素税や二酸化炭素排出量に関するキャップ・アンド・トレード制度(※)などの市場にフレンドリーな環境対策を提案すると、突然、コストは膨大となり、民間セクターはとても対応できないと言いはじめる。一体どうなっているのだろう。
米国のエネルギー省は、昨年発表したクリーンエネルギーの報告書に「革命、今ここに」といったタイトルをつけるなどして、クリーンエネルギーに対する熱意を多少明けひろげにするようになった。これは誇張に聞こえるかもしれないが、わずか2008年からの間に太陽電池パネルが75%以上も値下りしたことを考えれば、あながち誇張とも言えない。
ほかにも、
ポール・クルーグマン「お安くて野心的な気候変動対策」
では、(ここでは石炭火力だが)発電コストが上がると、経済がダメになる、みたいな意見を批判しています。
日本でも、再稼動に賛成、どころか、原発推進の立場である「日刊工業新聞」が
家庭用太陽光の発電コスト、1kW時21円でグリッドパリティー到達−本社調査
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820140730aaan.html
なんて記事を出してます*3。
じゃあ、さっさとFITをやめろ、みたいなバカも湧きますが、FITは初期投資に対する保証、というのが目的ですから、投資拡大と技術促進に効果的なのです。実際、FITによって日本においても急速にPVパネルの価格低下が起きたわけですから。買取価格を下げるのは賛成ですが、制度自体を無くすのはおろかなことです。
お手盛りの原発安全審査からは目をそらしつつ、再生可能エネルギーについては現状を正しく把握せず非難したがる連中には、「静岡エネルギー・環境懇談会」のようなプロパガンダは効果的に働くかもしれません。実にしょうもないですね。
では。