シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

メディアの自殺

東京新聞の望月記者がこんなことをつぶやいています。

8月に菅長官側から「後何人、後何問まで」と会見の打ち切りを内閣記者会に打診、そして耳を疑ったが、その打診に内閣記者会が応じてしまったようだ。以降、質問は打ち切られるように。メディアの自殺行為ではないか

https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/907932688773873664


御用マスメディアの“忖度”極まれり、というところですね。


“公務”理由に質問打ち切り 菅長官&麻生財務相の会見逃れ

官房長官会見での加計問題をめぐる東京新聞の女性記者の質問に不適切な点があったとして、東京新聞に異例の抗議文を送ったばかりの官邸。今度は記者クラブに“頼んで”質問をバッサリ打ち切り始めた。

 12日午前の会見からこれまでと様子が変わったという。14分ぐらい経った頃、官邸の広報官が「今、手を挙げている方、1問でお願いします」と発言。挙手していた東京新聞記者の質問に、菅長官が「仮定の問題なので控えます」と素っ気なく答えた直後、別の記者がさらに質問をしようとすると、幹事社が「よろしいでしょうか」と遮る。するとほぼ同時に広報官が「ハイ。ありがとうございました」と言って会見を打ち切ったのだった。

 官邸は先月、記者クラブに「公務がある時は会見を短くしてほしい」と要請。クラブ側が「事情は理解するが、会見の主催はクラブなので時間制限は受け入れられない」と一応は突っぱねたという。しかし、12日のやりとりを見る限り、事実上、時間制限を受け入れたも同然。官邸とクラブの「あうん」の呼吸の下、菅長官は公務を理由に、一部記者のしつこい質問から逃れる算段のようだ。
東京新聞記者に触発されて、最近は他の記者も簡単に引き下がらなくなり、菅長官は困っていた。今月末の臨時国会を前に手を打ったのでしょう」(官邸関係者)

■政治家に“忖度”する記者クラブ

 麻生財務相の会見逃れもヒドイ。森友疑惑の中心である財務省のトップでありながら、記者が麻生大臣に徹底追及する場面は見ない。記者の遠慮もあるだろうが、麻生大臣はちゃんと会見せず、ぶら下がり取材でお茶を濁しているのだ。

 8月以降、閣議後の財務相会見9回のうち、ナント7回はぶら下がり。麻生大臣は2問ほどの質問にサクッと答えると、はやてのように去っていく。これでは、やりとりにならない。ぶら下がりが多い理由を財務省に聞くと、「大臣の日程等を踏まえて決めています」(広報室)と、麻生大臣の“多忙ぶり”を強調する。

 安倍首相の言う“丁寧な説明”からほど遠い対応の菅長官と麻生大臣。忖度する記者クラブも同罪か。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213438


どうやら、執拗で急所を抉る素晴らしい質問をする望月記者が目障りだったのでしょう。


首相官邸広報室、東京新聞に注意 菅義偉官房長官会見での社会部記者の質問めぐり

首相官邸報道室は1日、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画をめぐり、8月25日の菅義偉官房長官の記者会見で、東京新聞記者の質問に不適切な点があったとして書面で東京新聞に注意を喚起した。
 質問したのは、加計問題などで菅氏を追及している社会部記者。加計学園が計画する獣医学部施設の危機管理態勢をただす中で「(計画に対する)認可の保留という決定が出た」と言及した。
 獣医学部の新設計画は大学設置・学校法人審議会が審査し、答申を受けた文部科学省が認可の判断を決めるが、この時点ではまだ公表されていなかった。
 官邸報道室は東京新聞に宛てた書面で「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は断じて許容できない」として、再発防止を強く求めた。

http://www.sankei.com/politics/news/170901/plt1709010045-n1.html


まあ、安倍政権ですし、こうした反応は当然ありうるわけで、意外性の欠片もありませんが、問題はやはり、こうした政権側を忖度する記者クラブの側にあります。
望月記者を中傷するようなクソウヨも大量に湧いておりますが、以下にアメリカの事例があります。


87歳の気骨:ヘレン・トーマスの怒り

ヘレン・トーマスは怒っている。かつてないほどに。

ホワイトハウス報道の最長老記者ヘレン・トーマス
レバノンアメリカ人のヘレン・トーマス女史は、ケネディ政権時代から現在まで、ずっとホワイトハウス番記者を続けている87歳の名物ジャーナリストだ。ホワイトハウス定例記者会見では、いつも最前列に座って、大統領報道官がもっとも答えたくない類の質問をする。
(中略)

2002年、マサチューセッツ工科大で講演を行った際に、若手ジャーナリストへのアドバイスとして、ヘレンはこう言っている:
政治家を相手にインタビューするなら、彼らが公務員で、あなたが彼らの給料を払ってることを思い出させてやりなさい。常に道理に適った質問をしなさい。そして、諦めないで。必ず内部告発がありますから。国を救おうと努力する人は常に存在するんです。」

定例記者会見でヘレンと毎日対決していた相手の1人、スコット・マクレランもこの言葉には苦笑するに違いない。
それにしても・・・アメリカにはヘレン・トーマスがいる。アイルランドにはキャロル・コールマンがいる。ところが日本では・・・マスコミ業界の秘密結社、『記者クラブ』のおかげで、国民が憂鬱な真実を知って気を病むことがないように、あらかじめ業界側が報道を選別してくれているらしい。

http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2007/12/87_2191.html


ブッシュが国民に見て欲しくないインタビュー

2004年6月24日、ブッシュ大統領アイルランド訪問直前に、アイルランドの放送局RTEの女性記者、キャロル・コールマンがワシントンでブッシュ大統領に直撃インタビューを敢行。「ブッシュを怒らせたインタビュー」として世界で話題になっている。アイルランドの女性記者は、どんな質問をしたのだろうか?さっそく、以下にインタビューの冒頭部分を抜粋してみよう。(source/ホワイトハウス公式サイトの記録)
キャロル・コールマン:
「大統領、これから24時間後にはアイルランドに到着し、アイルランドの閣僚から歓迎を受けるわけですが、残念ながら、アイルランド国民の大多数はあなたの訪問を歓迎していません。アイルランド国民はイラクの現状に怒っていますし、アブグレイブ刑務所の件でも怒りを感じています。そうしたアイルランド国民の考えに困惑されますか?」

(中略)

インタビュー終了後には記者と一緒に記念撮影をするなど、穏やかに見えたブッシュ大統領は、内心怒り狂っていたに違いない。このインタビューの後、ホワイトハウスから在米アイルランド大使館に対して抗議声明が送られ、次の日に予定されていたコールマン記者と合衆国ファーストレディ(ローラ・ブッシュ)のテレビ対談は中止されることになったのである。

アイルランド魂を世界に示した反骨の女性記者は、アメリカ合衆国大統領を激怒させた結果、キャリアを棒に振ることになっただろうか?いいや。コールマン記者の雇い主は「よくやった!」と彼女の仕事ぶりを賞賛、キャロル・コールマン記者はアイルランドで最大部数を誇る同局のテレビガイド雑誌の表紙を飾った。
ところで、このインタビューが行われる3日前、ホワイトハウスはコールマン記者側に対して、質問内容をあらかじめ提出するよう求めていたという。どうやら、コールマン記者はこのホワイトハウスからの打ち合わせの申し出に、素直に従わなかったようだ。この件に関して、2004年6月30日のホワイトハウス定例会見で、スコット・マクレラン大統領報道官は質問攻めになり、以下のような珍問答が生まれた。(source/ホワイトハウス公式サイトの記録)
記者:
ホワイトハウス内部の誰か、もしくは政権内の人物がアイルランドテレビのキャロル・コールマン記者にあらかじめインタビュー内容を提出するように求めていたというのは事実ですか?」
(後略)

http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/07/post_3.html


ブッシュ政権時に政権に対して対峙した記者たちは勇気ある方々でしたが、同時にそれを支持する他の記者達がいたのです。それが無ければ、彼女たちは会見の場から放逐されたことでしょう。独裁国家でそうであるように。本来は、記者クラブ、というのは、こうした政権に切り込み、疎んじられるような記者を守るためにあるのです。気に入らない質問をした記者を放逐しようなどとしたら、我々全員が許さないからな、ということですね。実際に上記の事例で、他の記者たちは彼女たちを支持しています。
現在も、アメリカのメディアはトランプ政権と対峙していますが(FOXを除いて)、民主主義を支えるメディアの矜持が伺えます。
ましてや、あらかじめ政権幹部への質問内容を通告する、なんて真似は、日本では普通の事、なんでしょうが、民主主義国家ではゲスい真似として批判を浴びるのです。

ですが、日本ではメディアが厳しい質問から政権を守る幇間になるわけです。
もう、どうしようもないですね。恥を知りなさい。


私は東京新聞の望月衣塑子記者を断固支持します。
では。

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