シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

“世界一高価なクルマ”に乗ってきたよ

先だって、東京千住にある東京ガスの研究施設、千住テクノステーションに行って参りました。


で、そこで「愛・地球博」にも展示された燃料電池(PEFC)搭載車を見せて頂き、さらに御厚意により乗せて頂きました。下のベンツのAクラスとトヨタRAV4がそれです。



写真のクルマのナンバーに気づきましたか? 8341 つまり、ヤサシイ、環境に優しい、の意味だそうです。価格は共にン億円との事ですが、なにせガワを除けば、全てハンドクラフトメイド。事実上、値段は付けられないとの事で、「世界一高価なクルマ」である所以です。陸運局にも一台一台登録の届け出が必要ですが、今後、ホンダ、トヨタでは車種の登録を行う事を予定しているそうです。つまり、個別の届け出がいらなくなるわけで、市販化に向けて一歩前進というところです。


燃料は天然ガス改質の水素。1回の充填で走れる距離はまだまだ内燃機関の自動車には及びもしません。両車とも意外に大きな音がしています。エンジン音ではなく、燃料や空気を送り込むブロアーやポンプ、それからラジエターファンがかなり大きな音を立ててます。ガソリンエンジンディーゼルエンジンは高温ゆえ放熱は比較的容易ですが、PEFCは100℃程度のためにラジエターを大型化しないと放熱が難しいそうです。


乗ってみた感想ですが、どちらも加速は素晴らしいです。背中をグッと押さえつけられる感じ。ジェット機の離陸時みたいな加速です。これは、燃料電池、というよりモーターによる駆動の利点でしょう。Aクラスは若干騒音があります。といっても、エンジンの音がするわけじゃなく、補機の音が入り込むんですね。高級乗用車ほどの静粛性です。
RAV4の方は驚異的です。音らしい音はしません。地面との僅かなロードノイズが伝わるだけ。静けさの中ジェット機並みの加速。異次元の感覚です。


この他、東京ガスがイメージする未来の家なども見せて頂きました。それにしても、東京ガスの研究棟はなかなか秘密基地っぽい外観であります。これには、キチンと意味があるようです。施設の端にはお稲荷さん。なかなか年季の入った祠ですね。




正直に言って、私は燃料電池搭載車が一般に普及出来るとは思いません。以前から述べているとおり、人類全体でエネルギー消費を劇的に削減する必要がある事を考えれば、パーソナルモビリティーに乗用車、というのは無理があります。短・近距離は自転車と徒歩。中距離はバス・LRTのような公共交通機関。フォローする形で、レンタカーやカーシェアリングなどが利用される可能性の方が望ましいでしょう。
ただ、燃料電池研究は自動車産業が牽引役となって進められていますし、公共交通機関への応用は様々にありうるでしょう。現在、一台のクルマに搭載出来る燃料電池の出力は一般家庭15世帯分程に匹敵します。つまり、家庭用燃料電池や集合住宅(アパート・マンション)へ利用されればスペース的にもエネルギー効率においても、充分現在のエネルギー供給体制を塗り替えるだけの能力を有しています。その点で、燃料電池研究には期待させられるのです。


今後、次世代型家庭設置燃料電池の実証事業が進められる事になっています。


エネファーム
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm


もし、首都圏(東京ガスの供給地域)で、ご興味がある方、申し込みしてみては如何でしょうか。