シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

陰謀論、ていえば済む訳じゃないんだよ

なんか、トラックバックもらったみたいなんで言及しておく。


【西松献金問題】いい加減陰謀論に終始するのはやめないか?(自由帳で数学とか物理とか)
http://hisamatomoki.blog112.fc2.com/blog-entry-425.html

いつまでも陰謀論をくだくだ撒いている方がいらっしゃるようなので書かせてもらいます。


弱ったな。陰謀論、ってレッテル貼れば片づく訳じゃないんだが。
しかも、後ろにジェラルド・カーティス氏の論説も載せているんだけどね。カーティス氏も「陰謀論者」なわけ?
経歴を見ると学生さんみたいなんで、たぶん、昔の事件については知らないんだろうな。ま、逐次言及していこう。

継続的にも何も、時効が迫っている以上、嫌疑が固まり次第逮捕するのは当然で、これに対して異議(しかも理由が「狙い撃ちという感が付きまとう」という感情の域を出ないもの)を唱えてしまうのはいただけません。


まず、容疑が公表されているとおりなら06年まで迂回献金は行われてきたわけだ。だとすれば、03年の時効うんぬんに拘って拙速に焦る必要は無い事になる。容疑の政治資金規制法を考えれば刑期が積算される訳でもないし、どの時点であっても容疑が立証出来ればその政治家は政治的には抹殺されるのだから。
しかも、


「時効間近だから逮捕した」ってのはどうなんだろ。
http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20090305/1236235580

「時効間近だからこの時期の摘発に踏み切った」という話がコンセンサスを得ているようだけど、刑事訴訟法254条により必要的共犯ということで西松建設が起訴されたら時効停止になるんじゃないの?とドシロウトの俺が言ってみる。

というわけで、時効に拘った、事自体、言い訳に過ぎないんじゃないの?という意見もあったりする。
さらに付け加えるなら、


岩永元農水相の政治資金問題、3千万円分は3月で時効に
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200903040090.html

農水相岩永峯一衆院議員(67)=自民、滋賀4区=側が宗教法人「神慈秀明会」(滋賀県甲賀市)から計6千万円を受け取りながら政治資金収支報告書に寄付として記載していなかった問題で、3千万円の授受があった03年分の収支報告書の提出から今月1日で5年が経過し、処理が違法であっても政治資金規正法違反罪の公訴時効を迎えていたことがわかった。05年分の提出からはまだ5年は経過していない。

だそうですわよ。こちらに至っては、収支報告書無記載、なんですけどね(つまり裏金)。

では検察は「空気を読んで」時効を成立させろというのでしょうか。

こちらに関しては、「空気を読んで」くださったようですね。
さらに、


特捜、二階氏側も聴取へ 「西松資金」の認識が焦点
http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200903080141.html

準大手ゼネコン「西松建設」が、ダミーの政治団体を通じて民主党の小沢代表側に多額の献金をしていたとされる政治資金規正法違反事件に絡んで、東京地検特捜部は、同じ政治団体にパーティー券を購入してもらうなどしていた二階経済産業相の事務所関係者から任意で事情を聴く方針を固めた模様だ。

いつまでたっても聴取する様子が無いですね。

それをやったから決定的な証拠にされたんじゃないですか。全く話が繋がっていません。


決定的証拠!?何を言ってるのか。
決定的証拠、なら特捜部は、「関係者によると」なんて形でリークしたりはしませんよ。
別に小沢氏がシロ、なんていう事は言いませんがね、というか現段階でわかりはしないのです。
そうではなく、あからさまな違反を行うほどアホなのか?そうしなくても充分意志は伝わるのに、という話。どうみても、検察の観測気球でしょ、ということ。

金額の桁がひとりだけ違ったという事実を失念してませんかね。


もともとの西松建設の動向から考えれば、「裏金」が本命でしょ?
だとすれば、表に出ている金額の多寡など本筋じゃないでしょうに。
問題となりうるのは、利益供与の斡旋、で、その容疑に当て嵌まるのは与党議員の方が可能性が高いじゃないのか、という事。

漆間さんは警察官僚であり、検察ではないんですが。

元、が抜けてる。
で、問題は、彼が「副官房長官」だという事。かつての所属組織の問題では無いわけ。

それを何の根拠もなく「恣意的な捜査でもない限りこんな言葉を吐けるわけもない」なんて決め付けるのは、はっきり言ってどうかしているでしょう。彼は警察官僚だったので、警察官としての予想で言ったというのが普通の思考じゃないですか。公式の発言ではなく、オフレコの話なんですから。

なんか、読解力が無いようなんで説明してあげるが、自民党議員に捜査の手が及ぶかどうかは、“本来であれば”知りようがない。検察側の捜査状況が伝わらない限りね。
もし、検察側から漏らしていたのだとすればおかしな事だ。
そうでないとすれば、法相らを通じて「指揮」している可能性がある。
で、オフレコとはいえ多数の記者が集まったところで述べてしまった「予想」の根拠は何なんだろうね。占い師じゃあるまいし。何らかの情報があって、それに基づいて「予想」した、というのが普通だろう。


なんか、「陰謀論」って言いたいみたいだけど、検察が恣意的な狙い撃ちをすることがある、というのは、言及もせず無視した「三井環」氏のケースなど、幾らもあるわけ。
最近、検察擁護のコメントをあちこちで述べてる宗像紀夫氏なんてのは、「噂の真相」で自らの疑惑について指摘された際、「噂の真相」潰しに奔走したりしている。


参考:

はじめに
http://www.uwashin.com/2001/new/okaiken.html


『『噂の真相』25年戦記』
http://homepage3.nifty.com/fujikawa/007AB.html


で、疑獄事件で恣意的な裁定を下すケースとしては、「指揮権発動」もある。


造船疑獄(Wikipedia)
http://tinyurl.com/dabcaz


恣意的な捜査にも例がある。


帝人事件(Wikipedia
http://tinyurl.com/c7b92y


昭和電工事件(Wikipedia
http://tinyurl.com/cg3326


逆に、あからさまに怪しい事件を放置(起訴)することで、政治的関与したケースもある。


三鷹事件Wikipedia
http://tinyurl.com/cg5c9k


松川事件Wikipedia
http://tinyurl.com/dbvg2y


別に、検察が完全無比の正義のシンボル、なんて事は無いわけで、彼らは彼らの都合で動くだろう。だとすれば、それ自体批判の対象になるのはおかしな事でも何でもない。で、検察にはその批判に応える必要があるはずだ。そして、その批判こそが司法の正当性を担保するものになると思うんだけどね。


で、自分としては民主党シンパでも小沢氏の支持者でも無い事は前述したとおり。
問題は、起訴もされておらず、あからさまに誘導的で恣意的な情報に流されるのは拙いだろ、という事。それは、参考例に挙げた事件の数々がどう時代を動かしたか知ればいいと思う。