シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

グレタ・トゥーンベリ氏は世界を変えたか

グレタ・トゥーンベリ氏の国連総会でのスピーチが話題となりました。

グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ。「あなたたちの裏切りに気づき始めています」(スピーチ全文)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/greta-thunberg-un-speech_jp_5d8959e6e4b0938b5932fcb6

私は今、この壇上にいるべきではありません。私は海の向こうで学校に行っているべきです。それなのに、あなたたちは私に希望を求めてここにきたのですか?よくそんなことができますね!

自分としては、彼女が云うように“自分たちはやるべきことをやっていると”は個人レベルではともかく、社会的取組みに熱心であったとは言えないので、恥入るばかりであります。社会に責任を持つべき大人としては、彼女(やそれに賛同する世界各国の多くの青年ら)に為すべきことをさせてしまったことを反省しています。
 

でも、その責任を直視したくない方々が、彼女を中傷しているようです。みっともないですね。
 

地球温暖化*1を否定するような輩はさすがに減ってきています。不思議なことにニセ科学批判の方々が温暖化否定を熱心に批判するところは見たことがありませんが、その方面からの攻撃はあまり目立ちません。なので、彼女の話し方や態度、バックボーンなどスピーチの内容以外を攻撃することにしたようです。
 

彼女があまりに“感情的”であるからドン引き、というような意見、これに関しては“トーンポリシング”がまんま当て嵌まります。
彼女の主張は世界の科学者の主流意見に沿っていますから、その価値を薄めるには、“冷静ではない、感情的だ”的な目の逸らし方が必要なのでしょう。
 

「冷静に」なんてなりません!
https://note.mu/erinadinfinitum/n/nbe3646e6835b
 

声高に叫ぶな!(拙ブログより)
https://dr-seton.hatenablog.com/entry/20140628/1403936798
 

自称現実主義者のしょうもなさ(拙ブログより)
https://dr-seton.hatenablog.com/entry/20141109/1415520809
 

また、彼女のスピーチがあまりに素晴らしかったために、(環境)活動家や左翼の操り人形ではないか、という意見も出ています。さすがにアメリカでそれを口走った輩は(あのFOXであっても)追放になりましたが、世界に冠たる極右国家日本では問題にならないようです。凄いですね。
 

国連演説のグレタさんに「病んでる」 米TV局が謝罪
https://www.asahi.com/articles/ASM9T1S4PM9TUHBI005.html
 

彼女の能力や判断力を証拠も無しに懐疑的に見ている、ということでして、随分と失礼な態度と言えるでしょう。
ちょっと前に取り上げましたが、女子高校生がパヨクを論破!みたいな話にはデマでも飛びつくのに対し、随分と態度が違うようです。
 

結局、女性(特に未成年女性)を見下しているのがアリアリと判ります。こうした連中にはグレタ氏をちゃん付けで呼んでいるような輩も見受けられるので、ひたすらキモいです。
 

手の込んだ中傷としては、途上国をダシにして、経済成長しないとやっていけないんだよ、それが現実だ、みたいな主張も見えますね。
ですが、これも以前指摘した“デカップリング”について、まるで理解していないことを示しています。
 
 

グリーン成長戦略「デカップリングとは何か?」

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/greenenergy/green_growth_strategy/decoupling/index.html

これまでの社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきました。企業活動が活発になり、生活が豊かで便利になれば、電力やガスをたくさん使うのはもっともなように思われます。
カップリングとは、これに対して一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく、即ち両者を「切り離す」という考え方です。 例えば、資源の再利用・循環利用を行う、エネルギー多消費の産業構造を改める、これまでにない手法で省エネすることにより、デカップリングは可能です。
ドイツでは、過去20年の間、日本以上に高い経済成長を続けつつ、一次エネルギー消費や温室効果ガスを減らしています(下図)。 再生可能エネルギーの導入やコジェネによる地域熱供給体制の構築、住宅の断熱化などにより、関連雇用を大幅に増やしつつ、エネルギー効率を高めてきました。
日本は世界で最も省エネが進んでいると言われてきましたが、エネルギー消費が増え続けてきたことも事実です。しかし、日本でもここ数年デカップリングの傾向が出始めているという指摘もあります。
カップリングの実現は、社会の仕組みを変え、経済成長のあり方を改めることに繋がり、グリーンエネルギー革命の一断面といえるでしょう。

 

このエントリーはもう5年前のものでして、当時よりはるかに現実は進んでいます。
再生可能エネルギーの内、太陽光と風力は発電手段で最安となり、それは未だに続いています。
 

「太陽光と風力が最安」原子力の専門家が報告書
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35826940X20C18A9000000/
 

二酸化炭素排出源として大きな割合を占める運輸部門でも、電動化、さらにMaaS化が進めば排出量は減るでしょう。経済成長すれば二酸化炭素排出増加が当然、という見方は既に古いのです。
途上国などでも再生可能エネルギーの恩恵を受け始めています。
 
 
安価な太陽発電でガザに光もたらす パレスチナ女性起業家
https://www.afpbb.com/articles/-/3231523
 
 
風をつかまえた少年
https://longride.jp/kaze/

もっというなら、RE100のような経済界の意欲的取組みをどう考えているのでしょう*2
 
 
 

【エネルギー】RE100と現在の加盟企業 〜再生可能エネルギー100%を目指す企業経営〜
https://sustainablejapan.jp/2019/02/16/re100-2/25334
 

どうせ操り人形扱いするなら、RE100の陰謀だ、差し金だ、くらい言ってみたらよかったんじゃないですか?まあ、現実の強者には従順な皆さんですから、そんなことはしないでしょうけど。
 

グレタ氏は世界を変えたのか?それは未だ判りません。ですが、彼女の言葉は多くの人に突き刺さった。有象無象の反応は、それゆえでしょう。でも、私は、彼女の言葉に逆ギレをするのではなく、応える大人でありたいと思います。
では。

*1:温暖化という言い方はすでに適当とは云い難くなっています。気候変動よりも気候危機と呼ぶにふさわしい、という意見も出ています

*2:ワタミも入っているのが気がかりですね

こんなゲスい商売放っておいていいの?

給与即日払い提案拡大 ペイミー、1年で社員倍増 営業・顧客サポート充実
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00530380

ペイミー(東京都渋谷区(略))は、今後1年以内をめどに従業員を8月下旬に比べ約2倍の40人程度に増やす。給与即日払いサービス「Payme(ペイミー)」の提案や既存顧客のサポートを強化する狙い。同サービスの利用データを求人に活用するといった新規事業の検討も進める。Paymeの利用者数について、2021年6月期に8月下旬の約15倍にあたる200万人を目指す。
Paymeを利用する企業の従業員は、給料日の前であっても、それまで働いた分の給与を即日受け取れる。ペイミーは給料の日払いが可能な点を訴求し、人手を確保したい飲食業や人材派遣業などの需要が伸びるとみており、直近で問い合わせも多いという。新規導入を検討する際に対面で話を聞きたい企業が一定数いるといった点を踏まえ、自社の営業やサポートの体制を強化する。販売代理店業者の拡大も検討する。
今後はPaymeのデータを活用した事業も模索する。例えば高校生時代に地方都市で喫茶店のアルバイトを3年間務めた人が大学進学で上京した際、その人にカフェのチェーン店での仕事を紹介するといった流れを想定している。
学生は経験者としての高い賃金がもらえ、企業側は採用の効率化につながる可能性がある。ペイミーは自社サービスの利用が広がれば、こうしたデータビジネスが進めやすくなると見込む。
(2019,9,10 日刊工業新聞

 

これって、給与即日払い、って謳っているけど、実質、「給与を担保にした貸金」だよね?この会社のサイトを覗いてみたら、「企業様の負担はありません!」みたいな売り文句が並んでいたけど、従業員側から手数料を取っていることはちょっとしか書いていない。そりゃ、企業にはお得だろうよ。従業員側に貸し付ける、という形なんだから。

従業員だって手数料取られても、即日現金が受け取れるというメリットがあるんだ、みたいな意見を持つような人もいるかもしれない。
でも、それは即日払いを受けなくても月給でも生活出来る、という状況ではない、ことを示しているのだ。本来であれば、月給で充分に生活が成り立つだけのゆとりを生み出せないようなら、労働対価としては足りないのである。
このペイミーという会社のサービスは、カツカツで暮らす人々が自転車操業に陥っている状況に付け込んでいるのだ。
どうみても、闇金業、カウカウファイナンスかシシックにしか見えない。
 

しかも、恐ろしいことを書いてますよね。働いた経歴を使われて就職先斡旋ですか。この記事自体、「高校生時代に地方都市で喫茶店のアルバイトを3年間務めた人」なんて書いてますけど、それってかなり生活に困窮していることを示しています。女性だったら、弱みに付け込んで風俗へ売り飛ばそう、という魂胆にしか見えません。それ以上に、個人情報保護法的に良いのか?

ちょっと検索したら、こういう“給与即日払いのサービス”って結構あるのですな。
弱者を食いものにする商売といえば、パソ中平蔵が頭に浮かぶわけですが、日本中が弱者を食いものにする“闇金ウシジマくん”世界になっているのかもしれません。そりゃ、経済も縮小するわけです。
少なくとも、“給与即日払い”企業を利用している企業は、ハッキリとブラック企業と言っていいと思います。こうしたところで働くのは止めましょう。
人手不足のおり、こうしたクソ企業を選ばなくても大丈夫でしょう?
では。

 

闇金ウシジマくん (46) (ビッグコミックス)

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ナニワ金融道 1

ナニワ金融道 1

 

 

日本企業の技術は別に優れてはいない

 

韓国半導体業界の関係者は4日、日本政府が7月に韓国向けの輸出手続きを厳格化した半導体関連3品目のうち、半導体洗浄に使う「フッ化水素」について、半導体世界大手の韓国のサムスン電子が製造工程の一部で国産品を使い始めたことを明らかにした。
フッ化水素の対韓輸出、日本政府が許可 サムスン注文分
 日本の輸出手続きが強化されて以降、韓国の半導体大手が国産の素材で代替を行うのは初めてとみられる。日本以外の外国製品の使用も始めているという。別の業界関係者によると、半導体大手のSKハイニックスも、日本製以外の製品を工程で使えるかどうか試験を繰り返している。
 韓国貿易協会によると、韓国のフッ化水素の日本製への依存度は4割超に上り、半導体の洗浄に使われる高純度のものはほぼ9割を日本からの輸入に頼る。韓国の政府と企業は、日本の輸出手続き強化を受けて国産化や輸入先の多角化を進めている。「日本離れ」が現実となれば、日本企業にも影響が出るおそれが指摘されている。
 サムスン電子フッ化水素を納入しているステラケミファ(大阪市)は4日、サムスン電子が韓国製品を使い始めたとの情報について「聞いていない」(担当者)とした。今後の業績への影響は「輸出が許可されていない状況なので見通しが立てづらい」(同)としている。(神谷毅=ソウル、大川洋輔)

 

まあ、予想通りの展開ですね。
高純度のフッ化水素は日本の優れた技術が無いと作れない、みたいな与太話を飛ばす連中がいますが、えらい勘違いです。
私、東京応化さんからいろいろ材料買ってたりしますので、彼らの苦境には同情します。クソウヨによって経済的損害を与えられるとは、本当に気の毒。

しかし、フッ化水素に限らないですが、日本企業がシェアを持っているのは日本に優れた技術があるから、などではありません。簡単に云ってしまえば、量の商売だから、です。
実は、現在、日本企業がシェアを持っているのは、こうした“量の商売”となる素材産業ぐらいのものです。こうした素材産業の場合、生産規模と設備稼働率がものを云う。競争相手に対して価格をギリギリまで、場合によっては赤字に踏み込むまで下げることで、シェアを維持する、という、いかにも(デフレの)“日本らしい”商売ゆえなのです。
こういう状況の場合、安定的に入手可能な限り新規参入はなかなか無い。競争しようにも、設備の減価償却が終わっている場合、ギリギリまで価格競争ということになるわけで、新規設備を稼働してまでシェアを取りに行くインセンティブが無いのです。

逆に云えば、そのインセンティブが存在すればどうなるか?新規設備は当然減価償却が終わっているような旧式なものより効率が良い。価格面でも性能でも競争相手となるでしょう。逆に、今まで寡占市場を確保していた側はギリギリまで設備稼働率を上げ、量をさばくことで利益を確保していたのに、設備稼働率が下がることによるダメージを受けることになります。
つまり、それが現在起きようとしていることです。

一旦、内製化なり国内産で賄えるようになれば、よほどのことが無い限り、日本企業から購入することはないでしょう。手のひら返しの可能性を示唆されたわけですから。
半導体産業がほぼ消滅した日本において、半導体用化学試薬類は使い道が極端に減ります。稼働率が高い=大量生産する、ことで成り立っていた化学産業は存亡の危機を迎えるでしょう。

さすが安倍首相。野党の経済政策は支持できない、だから消去法で自民党を支持する、の方々が、この結果をどう捉えるか興味深いところであります。まあ、相変わらず認知的不協和に陥いり、現実否認するのでしょうけど。
では。

週刊ポストなんて要らない

新聞の広告欄に目をくれて、ビックリするようなヘイトスピーチを見つけ、朝からゲンナリしました。

 

f:id:Dr-Seton:20190903220858j:plain

 

まあ、週刊ポストなど、年々主要読者層を反映してか、“死ぬまでセックス”だか、飲んではいけない薬だか、揉めない相続だか*1、「あー、この年齢層が読者層なのね。」みたいな感じだったのですが、現在、そういう方達には嫌韓が大流行りなようです。

はてなブックマークでも、嫌韓コメントを付けているのは多くは彼らと親和性の高い層のようですし、いい加減、年寄りをクソウヨ誘導するなよ、と思っていました。

なので、作家らが抗議し、抗議が相次いだのは少しは日本社会にも良心というものがある、と(僅かな)希望を感じさせるものでありました。

これを機に、週刊ポストには、「ヘイトで廃刊」という実績を作っていただきたと思います。どうせ、それしか存在価値はないでしょう?

では。

 

憎悪の広告

憎悪の広告

 

 

*1:すいません。週刊現代と間違っている話があるかもしれません。

そんなこと云っちゃっていいの?

菅義偉官房長官「韓国側に国際法違反状態の解決を強く求める」https://news.livedoor.com/article/detail/16994802/

菅義偉官房長官が28日、韓国が強制徴用被害者問題を解決することを促した。
官房長官はこの日の定例記者会見で、韓国をホワイト国から除外した措置について「安全保障上の観点から、わが国の輸出管理制度を適切に実施する上で必要な運用の見直し」と述べた。
続いて「現下の日韓関係における最大の問題は、旧朝鮮半島出身労働者(元徴用工)問題」とし「これを含めて韓国側から否定的で非合理的な動きが相次ぎ、非常に厳しい状況が続いている」と主張した。
官房長官は「日本政府としては、さまざまな問題についてのわが国の一貫した立場から、韓国側に賢明な対応を強く求めていく考え」とし「韓国側に対して一連の大法院判決により、韓国側によってつくり出された国際法違反の状態を解決することを求めていきたい」と述べた。


河野太郎さーん!!何かいってやってください。
 

河野外相「歴史は書き換えられない」と主張
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190828-00034211-hankyoreh-kr
 

以前にも書きましたが、個人の請求権は放棄されていません。
 

第10号 昭和40年11月5日 衆議院会議録情報
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/050/0401/05011050401010a.html

(略)○石橋委員 私は、長くなりますから、いままで政府が国会を通じて国民に説明しておりましたものを一々ここにあげません。簡単にお尋ねしますから、簡単に答えていただきたいのです。
 この平和条約第四条の(b)項においてわれわれは――われわれはというのは日本の政府はです。――国民の財産権の所属変更、移転まで承認したのではない、外交保護権を放棄した、それだけだ、こういう解釈をとってきた。これは間違いないでしょう。間違いないとすれば、いま、その外交保護権は放棄したという従来の説をそのまま維持しておられるのか、それとも変更して、外交保護権まで放棄したというふうに変わったのか、これは外務大臣、責任を持ってお答え願いたいと思います。
○椎名国務大臣 外交保護権の放棄であります。
○石橋委員 これはもうたいへんなことですね。従来の解釈、従来の政府の国民に対する説明というものを百八十度変えております。そんなことが一体許されますか。
○椎名国務大臣 変えておりません。
○石橋委員 外交保護権を放棄したものではないということをいままで言ったことはないというのですか。
○椎名国務大臣 外交保護権の放棄である。
○石橋委員 ちょっと待ってください。聞き方が間違えました。
 外交保護権を放棄しただけであって、個人の請求権を放棄したのではないという解釈をとっておられたわけです。――もう一度お尋ねします。国の財産権のみならず、個人の財産権の所属変更、移転まで承認したというのであるならば、外交保護権のみならず、個人のそれぞれ持っているところの国際法上の請求権すら、個人の承諾なしに、不当にも国が放棄したことになるのではないか、こういう意味です。正確を期して私もお聞きします。
○椎名国務大臣 外交保護権だけを放棄したのであります。
○石橋委員 そうしますと、各個人は韓国に対して請求権を持っておる、このように考えられるわけですか。
○椎名国務大臣 条約局長から答えます。
○藤崎政府委員 韓国で、昔だったら米軍、いまだったら韓国政府当局が、それぞれの法令によってとった措置の効力を承認したわけでございます。したがいまして、当該の日本人が自己の権利を向こうへ主張しようとしても、これは向こうの国内法上の権利であるわけでございますが、それは実際問題としては取り上げられないだろうということになるわけでございます。
○石橋委員 そうしますと外交保護権も放棄した。日本国民の個人のいわゆる所有権というものも、これも全部、その当人の承諾なしに、日本政府がかってに放棄した、こういうふうに認めていいですか。
○藤崎政府委員 前段におっしゃった外交保護権のことはそのとおりでございます。個人の請求権というものは向こうさんが認めないであろうということを申しているわけでございまして、この条約、協定で、そういうものを日本政府が放棄したということじゃないわけでございます。(略)

(via:http://www.twitlonger.com/show/n_1sqn6v7
 
 
これが何を指しているのか判らない(もしくは判らないふりをしているのか)人もいると思いますから、書いておきますが、かつて日本政府は”韓日基本条約とこの条約の付属協定である請求権協定”において、(かつて朝鮮半島に在住していた日本人の)財産が(実質的に)失われたか、と問われたのを、個人的請求権は持っている、と述べた、という話です。
条約というのは片務的ではありえませんから、日本人の韓国における財産の請求権が失われていない、というのなら、韓国人の日本における財産の請求権も失われていない、ということなのです。
韓国政府が(代わりに)補償すればいいのだ、という意見を書いてくる連中もいますが、日本政府自体がそうした主張を否定しているのです。

○石橋委員 外務大臣は明確に言っているわけです。外交保護権は放棄した、個人の請求権も実質的に放棄した、こう認めておられるのですよ。だから、あなたに聞いているのではないのです。もう法律解釈はわかっておる。だから内閣、政府の責任を私は追及しているんです。法律的なことを聞いているんじゃない。とにかく所有権者の、請求権者の承認も何もなく、かってに政府が放棄するというような行為が許されるか。実質的に救済の道はないのです。回復しようとしてもその道はふさがれておるという説明までなされておるのです。
  〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕
そうしますと、これは当然国家の利益のために国民の財産が充当されたという、こういう解釈をとらざるを得ません。賠償か賠償でないかということは争いのあるところでございましょうけれども、とにかくその中に在韓財産、日本国民の財産というものが加味されておるということは、これはもう否定できないと思う、何と言おうとも。国の利益のために個人の財産が犠牲になっているのです。当然これは補償の問題が出てくると思います。いかがですか、外務大臣。総理大臣がおいでなら総理大臣に聞きたいのですけれども。
○椎名国務大臣 個人の請求権を放棄したという表現は私は適切でないと思います。南辻法制局長官が言ったように、政府がこれを一たん握って、そしてそれを放棄した、こういうのではないのでありまして、あくまで政府が在韓請求権というものに対して外交保護権を放棄した、その結果、個人の請求権というものを主張しても向こうが取り上げない、その取り上げないという状態をいかんともできない、結論において救済することができない、こういうことになるのでありまして、私がもしそれを放棄したというような表現を使ったならば、この際訂正をいたします。
 それで、これに対する何か補償権というのが一体どうなるかということにつきましては、私は法制局長官の解釈に従いたいと思う。
○石橋委員 これは総理にお伺いしたいところなんです。あなたは先ほど、実質的に放棄したと言っていいのかと言ったら、そういうことになるとはっきりおっしゃいました。それはもう正直な答弁ですよ。外交保護権は放棄したけれども、個人の請求権は残っておると言ってみたところで、それでは韓国に対して訴訟を起こして回復しよう、その道は閉ざされている。実質的に放棄したことになる。間違いないじゃありませんか。それなのに補償の義務はないという、そういう議論は成り立たないと思います。これは総理が来てから私それでは確認をすることにいたしまして、関連の申し入れがありますから譲ります

 

ちなみに、この時の首相は佐藤榮作、安倍首相の大叔父にあたります。いくらなんでも個人的請求権が失われていない、ということくらい知らないとは思えませんけどね。
知っているなら、嘘をついている、ということです。
 

これは記者会見の記者達も同じであって、そのくらい突っ込めないからダメなんだよ。というところでしょうか。
まあ、こんな忖度は海外では通じませんから、この点で日本の味方になるようなところはありません。国際法上の解釈でも、です。
では。

こんな夜更けに議会かよ

れいわ新撰組の皆様。おめでとうございます。

 

木村 英子

https://v.reiwa-shinsengumi.com/candidates/eikokimura/

 

ふなご やすひこ

https://v.reiwa-shinsengumi.com/candidates/yasuhikofunago/

 

議員になられたお二方。その他、志及ばず、の方々の分も頑張ってください。

お二人に対して中傷が向けられているケースも見かけますが、社会的な公正さ、というものを考えた場合、お二人が議員として活動されることは、日本において重要な意味を持つと考えます。応援いたします。

 

こんな夜更けにバナナかよ

http://www.bananakayo.jp/

 

 

お二人の活動に対して新設を装って制約したがる皆さん。

あなた方の“親切”に関する答えが、上記の話です。ぜひ、ご覧になってください。

そして、ハンディキャップとはどういうことなのか。

社会的包摂とは何を指すのか。考えてみてくださいね。

では。

 

 

 

 

 

 

典子50歳いま、伝えたい―映画「典子は、今」あれから30年 (光文社知恵の森文庫)

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お前を憎んでなどやらない

先日の京アニの痛ましい事件の後に、こんな増田がドヤ顔してました。

 

 

ねぇ、死刑廃止派どうすんの?w
https://anond.hatelabo.jp/20190719044907

33人殺した奴をどうやって擁護すんの?

またドラえもんのせいにでもして、精神病による責任能力のなさを訴える?いいよ、そうしたら精神病患者社会の潜在リスクと訴えて回ってやるよ。

この犯人可能な限り残酷方法死刑にしてやるべきだろ。33人の被害者永遠に失われた未来と、遺族の悲しみを思うと、怒りで髪が逆立つ思いだ。

死刑廃止なんて絶対にあり得ない。こんな野郎税金で何年も生かして置くなんてあり得ない。どうせ金つかうなら、可能な限り残酷死刑にしてやりたい。

 

 

まあ、こんなクソな文章、みっともないので増田で書いたんでしょうけど、こいつの論理はそのまま、京アニ放火犯と同じものでしかありません。自分が気に入らないから、殺してやる、と。しかも、犯人以上にゲスいのは、自分の手を汚す気は無い、ということ。

さて、凶悪犯罪について死刑を叫ぶ連中はいくらも現れますが、当事者らによるこんな話はどう考えるでしょうか?

 

聞いてほしい 心の叫びを ~バス放火事件 被害者の34年~
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0228/index.html

1980年8月、発車前のバスにガソリンと火が投げ込まれ爆発・炎上、死者6人重軽傷者14人を出した「新宿西口バス放火事件」。この事件で全身80%に火傷を負いながら奇跡的に命を取り留めたのが、ノンフィクション作家の杉原美津子さん(69歳/名古屋在住)だ。杉原さんは火傷の治療で大量に使われた非加熱製剤によりC型肝炎に感染、後に肝臓がんを発症した。命の期限が迫る中、最後の作品の執筆を開始した。テーマは、過ちに対する「赦し」だ。事件後、杉原さんは被害者でありながら加害者の不遇な生い立ちや、社会から疎外されて凶行へ駆り立てられた経緯を知り、加害者の男を「赦す」感情がおきたことを著書で記した。しかしその後、本当は「赦していなかった」ことに気付く。きっかけは、作品の執筆に当たって原点を見つめ直そうと、事件と同日同刻のバスに初めて乗ったこと。30年余り心の中に眠っていた“被害者感情”が噴き出し、加害者を赦したわけではなかったと悟ったのだ。『なぜ、事件は起きたのか。なぜ、自分は「被害者」となり、男は「加害者」となったのか。』・・・杉原さんは、改めて裁判記録を掘り起こし、過ちが生じた背景を調べ、他の被害者と対話をすることで、「赦し」とは何かを探っている。
無差別殺人事件などの凶悪犯罪が後をたたない中、なぜ現代社会は「加害」の芽を摘み取ることができないのか、そして、被害者はどんなことに苦しみ、どうすれば乗り越えられるのか。番組では、その答えを探し、執筆を続ける杉原さんの心の軌跡を見てゆく。

 

杉原さんは、犯人の死刑を望まない、と発言したことで、酷い中傷にさらされました。被害者は厳罰を、死刑を望むべきであって、そうでは無いのがゆるせない、そういう言葉が盛んに寄せられたそうです。

死刑賛成派は、遺族の、被害者の気持ちを考えろ、的な意見を述べますが、杉原さんのような“被害者”は被害者として受け入れられないようです。

 

また、こんな話もあります。

 

 
ノルウェーの大量殺人テロ事件の犯人は死刑になっていません。増田らにとっては、ノルウェーは“ありえない”社会であるようです。それとも、日本は特殊だから、とでも言いますか?それは、ある意味否定しませんが。
 
私が死刑に反対なのは(今回の犯人に関しても同じです)、死刑は罪の贖いにはなりえないからです。罪の重さを思い知るまでは許しなど与えたくありません。死刑は犯人に言い訳と逃げ場をくれてやるようなものです。
私が一番感銘を受けたのは、パリ同時多発テロにおける、ある遺族の言葉でした。
 
パリ同時多発テロで妻を亡くした男性 テロに勝つために「私は憎まない」
憎悪に怒りで応じれば、今のあなたたちのようになるから。
https://www.huffingtonpost.jp/2015/11/18/husband-of-paris-attack-sends-message_n_8589032.html
 

あなたたちは私に憎しみを抱かせることはできません。
13日の夜、あなたたちは特別な人の命を奪いました ―― 私が生涯をかけて愛する人であり、私の息子の母親です。 しかしあなたたちは私に憎しみを抱かせることはできません。私はあなたたちが何者かを知らないし、知りたいとも思いません。あなたたちは魂を失った人間です。殺人をもいとわないほどにあなたたちが敬っている神が自分の姿に似せて人間を創造したのだとしたら、私の妻の体に打ち込まれた全ての銃弾は、神の心を傷つけたでしょう。
私はあなたたちの願い通りに憎しみを抱いたりはしません。憎悪に怒りで応じれば、今のあなたたちのように無知の犠牲者になるだけです。あなたたちは私が恐れを抱き、同胞に不審な気持ちを持ち、安全に生きるために自由を失うことを望んでいる。あなたたちの負けです。
今朝、私は彼女に会いました。この数日、ずっと待ち望んでいた再会です。金曜日の夜に外出した時と同じように彼女は美しかった。12年前に私を夢中にさせた時と同じように美しかった。もちろん私は痛みに打ちのめされています。その点については、あなたたちは少しは勝利をおさめたのかもしれない。しかし痛みは長くは続きません。彼女はこれからも私たちと共に生き続けます。そして私達は再び自由に愛しあえる楽園で会えるのです。そこは、あなたたちが入れない場所です。
私と息子は二人きりですが世界中のすべての軍隊よりも強い。これ以上あなたたちのために使う時間はありません。メルヴィルが昼寝から目を覚ましたので、彼のところに行きます。彼は生後17カ月。普段通り食事をし、私と遊び、そして幸せで自由な人生を過ごすことで、あなたたちに勝利するでしょう。彼もあなたたちに憎しみ抱くことはありませんから。

 

私は京アニ放火殺人犯を憎んでなどやりません。憎む価値さえもない。名前も呼びません。奪った命のかけがえなさを知るまでは呼ぶに値しない。ひたすら、自らの犯した罪と向き合ってもらいたい。
私が望むことは死刑に比べて“甘い”でしょうか?
では。

 

生きてみたい、もう一度―新宿バス放火事件 (新風舎文庫)

生きてみたい、もう一度―新宿バス放火事件 (新風舎文庫)