シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

グレタ・トゥーンベリ氏は世界を変えたか

グレタ・トゥーンベリ氏の国連総会でのスピーチが話題となりました。

グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ。「あなたたちの裏切りに気づき始めています」(スピーチ全文)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/greta-thunberg-un-speech_jp_5d8959e6e4b0938b5932fcb6

私は今、この壇上にいるべきではありません。私は海の向こうで学校に行っているべきです。それなのに、あなたたちは私に希望を求めてここにきたのですか?よくそんなことができますね!

自分としては、彼女が云うように“自分たちはやるべきことをやっていると”は個人レベルではともかく、社会的取組みに熱心であったとは言えないので、恥入るばかりであります。社会に責任を持つべき大人としては、彼女(やそれに賛同する世界各国の多くの青年ら)に為すべきことをさせてしまったことを反省しています。
 

でも、その責任を直視したくない方々が、彼女を中傷しているようです。みっともないですね。
 

地球温暖化*1を否定するような輩はさすがに減ってきています。不思議なことにニセ科学批判の方々が温暖化否定を熱心に批判するところは見たことがありませんが、その方面からの攻撃はあまり目立ちません。なので、彼女の話し方や態度、バックボーンなどスピーチの内容以外を攻撃することにしたようです。
 

彼女があまりに“感情的”であるからドン引き、というような意見、これに関しては“トーンポリシング”がまんま当て嵌まります。
彼女の主張は世界の科学者の主流意見に沿っていますから、その価値を薄めるには、“冷静ではない、感情的だ”的な目の逸らし方が必要なのでしょう。
 

「冷静に」なんてなりません!
https://note.mu/erinadinfinitum/n/nbe3646e6835b
 

声高に叫ぶな!(拙ブログより)
https://dr-seton.hatenablog.com/entry/20140628/1403936798
 

自称現実主義者のしょうもなさ(拙ブログより)
https://dr-seton.hatenablog.com/entry/20141109/1415520809
 

また、彼女のスピーチがあまりに素晴らしかったために、(環境)活動家や左翼の操り人形ではないか、という意見も出ています。さすがにアメリカでそれを口走った輩は(あのFOXであっても)追放になりましたが、世界に冠たる極右国家日本では問題にならないようです。凄いですね。
 

国連演説のグレタさんに「病んでる」 米TV局が謝罪
https://www.asahi.com/articles/ASM9T1S4PM9TUHBI005.html
 

彼女の能力や判断力を証拠も無しに懐疑的に見ている、ということでして、随分と失礼な態度と言えるでしょう。
ちょっと前に取り上げましたが、女子高校生がパヨクを論破!みたいな話にはデマでも飛びつくのに対し、随分と態度が違うようです。
 

結局、女性(特に未成年女性)を見下しているのがアリアリと判ります。こうした連中にはグレタ氏をちゃん付けで呼んでいるような輩も見受けられるので、ひたすらキモいです。
 

手の込んだ中傷としては、途上国をダシにして、経済成長しないとやっていけないんだよ、それが現実だ、みたいな主張も見えますね。
ですが、これも以前指摘した“デカップリング”について、まるで理解していないことを示しています。
 
 

グリーン成長戦略「デカップリングとは何か?」

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/greenenergy/green_growth_strategy/decoupling/index.html

これまでの社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきました。企業活動が活発になり、生活が豊かで便利になれば、電力やガスをたくさん使うのはもっともなように思われます。
カップリングとは、これに対して一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく、即ち両者を「切り離す」という考え方です。 例えば、資源の再利用・循環利用を行う、エネルギー多消費の産業構造を改める、これまでにない手法で省エネすることにより、デカップリングは可能です。
ドイツでは、過去20年の間、日本以上に高い経済成長を続けつつ、一次エネルギー消費や温室効果ガスを減らしています(下図)。 再生可能エネルギーの導入やコジェネによる地域熱供給体制の構築、住宅の断熱化などにより、関連雇用を大幅に増やしつつ、エネルギー効率を高めてきました。
日本は世界で最も省エネが進んでいると言われてきましたが、エネルギー消費が増え続けてきたことも事実です。しかし、日本でもここ数年デカップリングの傾向が出始めているという指摘もあります。
カップリングの実現は、社会の仕組みを変え、経済成長のあり方を改めることに繋がり、グリーンエネルギー革命の一断面といえるでしょう。

 

このエントリーはもう5年前のものでして、当時よりはるかに現実は進んでいます。
再生可能エネルギーの内、太陽光と風力は発電手段で最安となり、それは未だに続いています。
 

「太陽光と風力が最安」原子力の専門家が報告書
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35826940X20C18A9000000/
 

二酸化炭素排出源として大きな割合を占める運輸部門でも、電動化、さらにMaaS化が進めば排出量は減るでしょう。経済成長すれば二酸化炭素排出増加が当然、という見方は既に古いのです。
途上国などでも再生可能エネルギーの恩恵を受け始めています。
 
 
安価な太陽発電でガザに光もたらす パレスチナ女性起業家
https://www.afpbb.com/articles/-/3231523
 
 
風をつかまえた少年
https://longride.jp/kaze/

もっというなら、RE100のような経済界の意欲的取組みをどう考えているのでしょう*2
 
 
 

【エネルギー】RE100と現在の加盟企業 〜再生可能エネルギー100%を目指す企業経営〜
https://sustainablejapan.jp/2019/02/16/re100-2/25334
 

どうせ操り人形扱いするなら、RE100の陰謀だ、差し金だ、くらい言ってみたらよかったんじゃないですか?まあ、現実の強者には従順な皆さんですから、そんなことはしないでしょうけど。
 

グレタ氏は世界を変えたのか?それは未だ判りません。ですが、彼女の言葉は多くの人に突き刺さった。有象無象の反応は、それゆえでしょう。でも、私は、彼女の言葉に逆ギレをするのではなく、応える大人でありたいと思います。
では。

*1:温暖化という言い方はすでに適当とは云い難くなっています。気候変動よりも気候危機と呼ぶにふさわしい、という意見も出ています

*2:ワタミも入っているのが気がかりですね